日経ニッケイビジネス ドウメダルの英語エイゴ目指メザせ! ←クリックするとこのページへびます。↓      
  最初サイショのページはスデになくなっています。貴重キチョウ提案テイアンですので以下イカにHPをコピーしてみました。    
 
 
BronzMedal_Title2.png
  英会話の最大の障害を取り除く  
  英会話も会話、「沈黙は金」は通用しない  
  林 則行  
 
これをやったら、コミュニケーションが台無しに
 
   「何度言ったら分かるの? 子供じゃあるまいし、
  同じことを繰り返させないでちょうだい。どういう
  つもりなの?」   
   と妻(または母、恋人)から小言を言われたとし
  ます。   
   もしここで、あなたが素直に「ごめん。ぼくが悪
  かった」と謝れば事は丸く収まります。ところが、
  人間は天の邪鬼な生き物ですから、つい反論したく
  なってしまいます。   
   ここで2つの反抗的な態度が考えられます。  
  A.「そんなこと言ったって、お前だって悪いじゃない
  か」と相手に大声で怒鳴り返す。  
  B.ただ、何も言わずに相手を無視する。  
   さて、どちらがより険悪なムードにつながるでしょうか?   
   みなさんの家族によってそれぞれ違うかもしれませんが、英米で絶対に取ってはいけない態度は B  
  です。愛情の反対は憎悪ではなくて、無視だからです。   
   英語文化圏では話し合うのが人間関係の基本です。夫婦でも以心伝心ということはなく、何でも話  
  して理解を深めるという発想です。   
   これを象徴した表現があります。  
   We need to talk. 話したいことがあるんだ。   
   これは深刻な話をしたい場合に使います。夫婦なら愛情にひびが入り始めているような場合です。  
  職場なら上司が「お前は給与分の仕事をしていない」と警告をするような場合です。もちろんもっと  
  軽く用いる場合もありますが、一般的には事の重大性を相手に認識してもらいたいときに使います。  
     
   話し合いが始まったら、相手に腹蔵なく話します。お互いに自分の言い分をはっきりさせ、合意で  
  きるまで話すのです。この際は相手の目を見て話し、言葉を濁すような言い方をしてはいけません。  
 
   英米文化において、最もやってはいけないことは「コミュニケーションを切ること」であり、「言  
  葉を濁す」ことです。これは程度の差こそあれ、日本語での会話でも同じことでしょう。   
   「そんなことは言われなくても分かってる。俺はそんなことはしてないよ」   
   と反論する方が大半ではないでしょうか。しかし、ぼくの見たところ、それがそうでもないようで  
  す。 一瞬の遅れが“意味シン”をもたらす  
   もう少し正確に言いましょう。コミュニケーションを意識的に立ち切る人は少ないでしょう。でも、  
  言葉を濁す人はけっこういます。と言うより、濁したつもりはなくても相手にそう受取られることを  
  してしまうことが多々あります。コミュニケーションを遅らせることがその代表例です。   
   これだけの説明では分かりにくいでしょうから、具体例を挙げます。   
 
  恋人女性:「次はいつ会えるの?」  
  恋人男性:「金曜日はどう?」   
 
   これはありふれた2人の会話です。ごく自然です。しかし、次のように変わるとニュアンスが違って来ます。   
     
  恋人女性:「次はいつ会えるの?」      
  恋人男性:「………………」と一瞬の間を置いてから「金曜日はどう?」   
     
   この場合、敏感な女性だったら、「私たちの関係に何かひびでも入ったのかも」とまで感じるかもしれません  
     
  同じように、夫に買物を頼む際に、      
   「あなた、会社の帰りにお弁当買ってきて」    
   と一気に言わずに、      
  −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  「あなた」  
   で一呼吸置いてみてください。ほんのちょっとの間です。「会社の帰りに……」のセリフが始まら  
  ないうちに、夫ははっとした顔でこちらを見るでしょう。何か重大な話が始まるかと思うからです。  
         
   会話では相手が何か言ったら、自分が即、何か返すのが原則です。そこで一呼吸置いたら、そこに  
  は何らかの意味があると解釈されてしまいます。   
   みなさんは英会話で同じことをやっていないでしょうか。   
   「自分はできるだけすぐに答えているよ。一呼吸なんて置いていない」とおっしゃる方も、もう一  
  度自分の話し方を思い出してみてください。   
 
 
間が長いと怖い人に思われるかも  
     
   外人から何か言われた場合、  
  (1)まず、相手が何を言ったか日本語で理解しようとする  
  (2)次に、自分が何を言おうかと、まずは日本語で考える  
  (3)それを英訳する  
   というプロセスを踏んでいるのではないでしょうか。   
 
   このプロセスにかかる時間はほんの少しかもしれません。でも、国際電話を思い出してみてくださ  
  い。自分が何か言ったあとに相手の反応が遅れた経験はないでしょうか。遅れたといっても1秒もない  
  程度の間です。それでも市内通話と比べてなんだか話しにくく感じます。   
   よく知った仲の外国人なら、会話中に多少間があいても「英語が出てこないんだろう」と思ってく  
  れるでしょう。でも、これが初対面だとそうはいきません。   
   大学生のころ、友人3人とぼくの合計4人で初めての海外旅行に出かけ、サンフランシスコに行きま  
  した。「シスコの地図でも買いたい」と友人が言うので、4人で近くの本屋に入りました。店員が「い  
  らっしゃいませ」と言いました。20歳くらいの可愛い白人の女の子でした。   
   友人は「地図はないでしょうか」と言うつもりだったのですが、英語が出てきません。頭の中で用  
  意したはずの英語がすぐには出てこなかったのです。黙って立っているだけでした。ぼくを含めた残  
  りの3人もただ黙っていました。   
   一瞬ですが、店員の顔が引きつっているようでした。彼女の立場に立ってこの状況を考えてみれば  
  その理由は分かります。日が暮れて狭い店内に、見知らぬ東洋人の男4人が黙って立ってこちらを見て  
  いるのです。店側の人間は自分ひとり。強盗かもしれないと思ったでしょう。   
   ようやく友人の口から「地図が欲しいんです」と英語が出てきて、事態は収まりました。店員に笑  
  顔が戻って地図売り場までぼくらを案内しました。黙っているだけで相手は恐怖心を持ってしまうの  
  です。   
  正確に話そうとする真面目さがあだとなっている  
 
   ぎこちない間が生じてしまう最大の理由は語学力が不足しているからですが、それ以外に日本人特  
  有の理由があるとぼくは考えています。日本人の長所が短所に化けるというものです。   
   日本人の英語の力の中で秀でている力があります。それは文法です。   
   アメリカ人ですら文法の苦手な人は少なくありません。ぼくが通っていた米国のビジネススクール  
  には学生の発言の文法間違いを正している教授が居ました。学生たちは大学院まで来て、基礎教育の  
  「しつけ」に近いような言葉の手直しに苦笑していました。ビジネススクールに進学するアメリカ人  
  は教養のある連中ですから、一般人はなおさら文法に弱いと思っていいでしょう。   
   諸外国から来た留学生の文法はさらにひどいものがあったようです。“あったようです”とあいま  
  いな言い回しをしているのは、当時のぼくには留学生たちの英語が早口過ぎて聞きとれなかったから  
  です。   
   もう一つ、文法にかかわるエピソードを紹介しましょう。ぼくが入った米国の英語学校では、留学  
  生たちは先生とも冗談を言い、友達同士はまるで母国語で話しているかのように楽しそうに振る舞っ  
  ていました。クラス分けの結果、この人たちと同じクラスになったのですから、ぼくの実力は彼らと  
  同じレベルなはずでした。  
   しかし、ぼくの実力は過大評価されていたのです。その理由は文法にありました。その英語学校は  
  外国人の文法があまりにひどいので、試験で文法を重視していたのです。だから、ぼくだけでなく、  
  ほとんど英語をしゃべれない日本人でも、文法の点が高いために実力が底上げされ、そのクラスに混  
  じることになりました。   
   欧州の人はもともと言葉が英語に近いですから、英語に抵抗感がなく上達が速い。反面、自国の言  
  葉に近いという理由で、自分の国の言葉のつもりで英語を話してしまいます。これに対して、日本人  
  はまるで違った言語体系ですから、「英語は文法から」と思っているのです。   
   しかし、これは両刃の剣というやつです。当然のことながら、潔癖なまでに自分が習った通りに英  
  語を話そうとしてしまうからです。   
   例えば、「三単現のS」という文法。  
   Heのあとはdo notではなくて、そうだ、does notだったなと思い出すわけです。場合によっては途  
  中までHe do not言ってしまってから思い出してHe does notと言い直します。思い出すのに時間がか  
  かりますし、言い直せば会話は停滞してしまいます。   
 
   日本語の例で考えてみれば、こんな言い直しが不要なのは明白です。   
 
   「私は彼に夢中なの」と言おうとして、「彼に首っ引きなの」と言っても誰も気にならないでしょ  
  う。正しくは「首ったけ」です。けれど、そこに居る友人はどんな彼なのかだけに関心があるから、  
  細かい表現にまで気が回らないのです。正しい言い回しに直していたら、会話のリズムが崩れてしま  
  います。   
 
  正しい言い回しに直していたら、会話のリズムが崩れてしまう。   
 
 
「日本人は何を考えているか分からない」と言われる理由  
 
   日本人は正確に言おうとしすぎなのではないでしょうか。英語を教える技術をもって世界中を渡り  
  歩いている英語教師にとって最も不人気な行き先は日本です。授業が盛り上がらないからです。正確  
  な言い回しを頭の中で固めるまでは口を開かないという態度で臨むので、日本人が集まる英会話教室  
  は静寂に包まれます。ある英語教師は「日本は給与がいいから行く人は多いけど」と言っていました。  
     
   これと対照的に、正確さはおかまいなしなのがアラビアの人たち。英語の授業中、「文法などかま  
  わずに、みなべらべらしゃべっている」とある英語教師が言っていました。そのままにしておくと、  
  収拾がつかないくらいだそうです。   
   病み上がりの人は周囲が気遣ってくれるように、英語が不得手の人には外人の方で気を回してくれ  
  ます。日本に住む外人たちには「自分は日本語を話していない。日本人に英語で話してもらっている」  
  という弱みがあるからです。こちらはそれに甘えてもっとおおらかにしゃべっても問題ありません。  
     
   「日本人は何を考えているか分からない」と外国で評価を受けているのはご存じでしょう。私が住  
  む国際都市・香港でも庶民の英語力は決して高くありません。アラビア人の英語はさらに褒められた  
  ものではありません。それでも日本人だけが得体のしれない生き物のように思われるにはそれなりの  
  訳があるはずです。その一つが間の長さではないかとぼくは考えています。   
 
   「そうは言ったって、相手の話を理解するのにも、自分がしゃべることを組み立てるのにも時間が  
  かかるよ。日本語のようにすらすら出てこないよ」  
   という反論で出てきそうです。   
   ここで読者のみなさんに気づいていただきたいことは、「英会話も会話だ」ということです。会話  
  はスムーズに流れてこそ楽しいものです。あなたの話をじっと待っている聞き手にだって、がまんの  
  限界があります。それを避けるためには、ぎこちない間をあけないことが最も重要です。外人が「安  
  心」して話せる人にならなくてはいけません。簡単には直すことはできないでしょうが、「ぎこちな  
  い間が最大の敵」と分かれば、われわれも対処のしようがあるはずです。   
 
   ぎこちない間を完璧になくすことは初期の段階ではあり得ないでしょう。それでも、次回からお話  
  する方法を身に着ければすぐにしゃべれるし、相手に通じるようになります。「しゃべれるし通じる  
  ぞ」と思えるようになれば自信が付きます。外人からも好感をもたれ、会話が弾むのではないでしょ  
  うか。   
 
     
今日は、いよいよ最初のレッスンです。あまりにやさしいので、「これではプライドが許さない」と  
  思われそうなほどです。しかし、これは世界標準の英語です。大事なことは、これがすぐに口をつい  
  て出てくるかどうかです。   
 
  この英語がすぐに出てきますか?  
 
  問題:以下の日本語を見て、すぐに英語になるかどうか試してみてください。   
 
  「駅に行く道を教えて下さい」   
 
   もし、ここで「どう言うのだっけ?」と一瞬でも考えてしまった方にとって、今日のレッスンは十  
  分学ぶ価値があります。   
 
   ぼくが思うつくままに書いてみます。  
  May I ask you how to go to the station?  
  Can you let me know how I can get to the station?  
  Could you tell me the way to the station?  
  Excuse me, where is the station?   
 
   まず大事なことは、英作文の試験を受けているのではないのですから、日本語と英語の意味がだい  
  たい同じになれば十分だということです。   
 
  駅 → the station   
  行く道 → the road to   
  教えて → teach   
  ください → Please   
 
   のように考えて、  
  Please teach the road to the station.  
  としなくてもいいんです。   
 
   というよりも、この英語は通じますが、正しくはありません。今日ぼくが紹介する「正解」英語の  
  方がもっと簡単で、よく通じます。   
 
   なぜ正しくないセンテンスができてしまったかというと、日本語と英語の単語を1:1に置き換えて  
  いるからです。これは最もやってはいけないアプローチです。ぼくがこの連載で示す方法論に従って  
  いけば、「日本語から英語をつくり出す」という従来のやり方を徐々にしないようになってきます。  
 
  ポイントは「必須語で話せ」  
 
   英語を学び始めたばかりの人が注意すべき簡単なルールがあります。それは、「必須語を探せ」と  
  いうものです。   
   日本文でも英文でも文の中には必須の単語とそれ以外の、言わば、飾りの単語があります。ぼくが  
  書いた上の4つの英文をよく見てください。すべての文に共通の単語は一つしかありません。それはS  
  tationです。それ以外は、「どこですか」に当たる部分が異なる表現で出てきます。   
 
   つまり、  
  必須語: 駅 どこ  
   となります。それ以外は飾りです。   
 
   だから、もし外国で道を聞くはめになったら、  
  “Station Where”  
   でいいわけです。   
 
   これがぼくの薦める英単語スピーキングです。   
 
   道に迷ったときに最初に頭に思い浮かぶ単語は行き先(この場合は駅)でしょう。思い浮かんだこ  
  とをさっと言うのです。   
 
   デパートやお店の中だったら、「トイレはどこですか?」と聞く際に”Restrooms?”だけ言えれば  
  完璧です。もちろん相手への礼儀として、”Excuse me.”くらいは添えた方がいいですが、思いつか  
  なかったら、なくてもかまいません。   
   ぼくがパリを旅したときはこれで乗り切りました。ぼくはフランス語は「こんにちは」と「ありが  
  とう」しか知りません。数も1と2しか数えることができません。あるとき、道に迷い、シャゼリゼ通  
  りがどの方角にあるか全く分からなくなってしまいました。四つ辻にお巡りさんが立っていたので、  
  にこにこしながら近づきました。  
   「ボンジュール。シャンゼリーゼ」   
   と言って、ぼくは四つ辻のそれぞれの方向を順番に指さしました。つまり、シャンゼリーゼ通りの  
  方向がどちらなのかを指さしてほしいと示したわけです。お巡りさんはにこにこしながら、左の方角  
  を指差しました。ぼくは「メルシー」と言いました。お巡りさんもうれしそうでした。   
   ぼくの意図したところは100%通じたし、お巡りさんも「今日は道に迷った外人旅行者を助けた」と  
  思ったことでしょう。これは完璧に意思疎通ができた例です。 ただし、自分の行き先だけは誰も察し  
  てくれません。例えば、展望台に行きたい場合、展望台を英語でどう言うのか分からないと人は、場  
  所を聞くことができません。必須語だけは英語で言えないと困る、ということです。しかし、それさ  
  え言えればコミュニケ―ションは成立します。   
 
  この場合バアイ、「シャンゼリーゼ」だけが必須ヒッス  
 
 
  世界標準の英語をものにする  
 
   「これはブロークン英語だ。これには抵抗があるなあ」と思う方がいるかもしれません。   
 
   「ブロークン」という言い方をしてしまうと響きが悪いのは確かです。しかし、そう考える方は外  
  聞を気にしすぎているからではないのでしょうか。読者のみなさんは、カタコト日本語の外国人に道  
  を尋ねられた経験がおありでしょう。そのとき、「あの外国人の日本語はブロークンだった」と思う  
  でしょうか。それより、「なんとか無事に目的地に着いてほしい」と思ったのではないでしょうか。  
     
   ここで紹介している英語は流暢(りゅうちょう)とはかけ離れた代物ですが、重要なことは、世界  
  標準の英語だということです。   
   米国、英国、カナダ、オーストリアなどの英語を母国語とする人口が4億人前後、英語を第2外国語  
  として話す人が15億人前後居ると言われています。後者の人たちの英語力の大多数はそんなものです。  
     
   ぼくが住んでいたアラブ首長国連邦のアブダビ市にはバスや電車はありませんから、公共交通機関  
  はタクシーだけです。タクシーのドライバーはみなパキスタン人で、客によってアラビア語と英語を  
  使い分けてくれます。ただ、猛スピードで走る車を操るドライバーに対し、素早く正確に伝えなけれ  
  ば目的地にたどり着けません。   
 
   「次の信号を右に曲がってください」  
   は常套句でした。これはどう言うのでしょう?   
 
   これは必須語を挙げてみれば簡単です。  
   信号と右が必須です。   
 
   したがって英語は  
  “Signal Right”  
   となります。   
 
   なお、ここで「次の信号」の「次」を訳すつもりで、nextを言うと大変なことになってしまいます。  
  目の前にある信号のその次の信号のことかと誤解するからです。   
   この英語はアラビアでは「正式」な英語でした。一緒に乗った友人のイギリス人も運転手にそう指  
  示していました。ぼくはからかって   
   「お前のその英語、どうなっているの? 君はイギリス人だったっけ?」と揶揄(やゆ)しました。  
   「これが、いちばん通じるんだよ」  
   と彼は言っていました。正統な英語をしゃべっても相手が理解できなければ意味がないのです。   
 
  正確に伝わるのが単語スピーキングのよさ  
 
   「それでも、何もここまでレベルを落とさなくてもいいんじゃないか。 Station WhereとかSignal  
   rightではあまりに幼稚だ」と思う方がいらっしゃるかもしれません。   
   前回申し上げたように、「駅に行く道を教えてください」を作文している間に、ぎこちない間が生  
  じてしまうのが最も避けるべきことです。Station Whereは頭からすぐに出てくるでしょうから、「ま  
  ず言っちゃえ」とぼくはアドバイスしているわけです。その方がずっと“会話らしい”会話になりま  
  す。このレベルができたら、次の段階に進むことを考えればいいのではないでしょうか。   
 
   ぼくが必須語スピーキングを勧める理由は、自分の失敗にあります。   
 
   留学生だったころ、ぼくはコピーを取りたくて、コピー屋に入りました。自分の書いた論文のコピ  
  ーを取っておきたかったからです。 Can you make one copy for each? (各ページを1枚ずつコピー  
  してください)   
   このようにすらすら英語が出てくればよかったのですが、ぼくは途中で言い淀んでしまいました。  
  Forまで言ったときに、「あれ、この英語でよかったかな?」という不安が頭の中をよぎったのです。  
 
   店員はOKと言って奥に消えて行きました。  
   戻ってきた手には分厚いコピーを抱えていました。  
   Forで言葉を止めたばかりに、そこが強調され、4部コピーを取ってきたのです。  
   論文は20ページ。コピーは80ページ、合計100ページを抱えるようにして店を出ました。店を出る際  
  に別の客の声が聞こえました。  
 
   このアメリカ人の英語を聞いて、コピーを頼むときは数字だけ言えばいいということが分かったの  
  です。この場合、必須語はコピー枚数だけです。   
 
  通訳、ビジネスは単語スピーキングでOK  
 
   「日常会話はこの程度でも良いだろうが、正式な場面では役に立たないんじゃないか」と思う方も  
  いるでしょう。もちろん晩さん会のような席では無理です。でも一般のビジネスでもこの程度の言葉  
  の使い方で問題はありません。   
 
   ぼくは株式投資を仕事とするファンドマネージャですから、部下たちと日本の経済ニュースを日々  
  共有し、それについて話し合ってきました。   
   「今日はいいニュースがあったよ。失業率が0.3%前月から下がったんだ」   
   これは、よくある部内での会話です。これを英語で言うとどうなるでしょうか。ぼくが実際に使っ  
  ている表現そのままをここで書きます。 “Good news. Unemployment rate Down 0.3%”   
   この中で必須単語は3語。「失業率」と「0.3%」と「下がった」だけです。プロ同士の間では0.3%  
  が前月からの変化率を指すことはみな知っていますから訳出不要です。   
   ていねいな人ならば、日本語と同じようにちゃんとした文で話すかもしれません。そういう人でも、  
  もし「聞こえなかった。もう一度言ってよ」と言われたら、   
 
  “Unemployment Down 0.3”   
 
   といった大事な個所だけを繰り返すでしょう。その際はrateも%もなくなっています。   
   通訳をする場合も一言一句正確に訳す必要はありません。ぼくがあるプレゼンテーションの通訳を  
  頼まれたとします。話し手が「みなさん、これから3つの大事なことをお話しします」と言い、それを  
  訳すことになったとします。   
   ぼくが訳せば、“Three things.”  
   だけです。   
   上の日本文で必須語は「3つ」だけです。このセンテンスを語感を大切にして日本語に戻すと、「ポ  
  イントは3つ」くらいになるでしょう。聞き手にはそう聞こえています。   
   聞き手の外国人は「3つのポイントは具体的には何か」に興味があるのであって、早く次が聞きたい  
  のです。そうでなくても、話し手が日本語をしゃべっているときは呪文を聞いているようで退屈な時  
  間です。だからここはさっと訳すのが最高です。   
 
英語は単語だけでも意味を成す  
   どうして単語を並べただけでもビジネス上問題がないのか。有難いことに、それが英語の特性だか  
  らです。例えば、ビートルズの大ヒット曲は”Yesterday”。日本だったら「昨日」というタイトルで  
  は売れないでしょう。これではあまりにそっけない感じです。同じような例に、ミュージカル「アニ  
  ー」の代表曲 ”Tomorrow”があります。邦訳すれば、ただの「明日」で味気ない。「明日があるさ」  
  になりそうです。   
   米国で銀行やスーパーのレジの列に並んだことのある人は、大声で”Next!”と呼ばれた経験がある  
  でしょう。これを「次!」と訳すと高飛車な姿勢に腹が立ちます。しかし、米国人には「お次の方」  
  くらいに聞こえているはずです。英語では、単語だけでもそれ以上の意味を語っているように聞こえ  
  るのです。   
 
   英単語スピーキングの良いところはすぐに英語が出てくることです。会話の流れを大切にできると  
  ころです。さらに、これができるようになれば、次の段階(単語だけでなく文が口から出てくる段階)  
  につながっていくのです。つまり「点」の英語から「線」の英語へ成長していく準備段階でもあるの  
  です。   
   この英単語スピーキングが難しいと感じる方は、読者のみなさんの中には居ないでしょう。問題は、  
  この英語でプライドが許すかどうかです。そこを超えれば、一歩踏み出したことになります。   
 
   「英語で考えるなんてできない」と思っていないでしょうか。苦手意識の強い人でも、実は英語で  
  考えることを既に始めています。それに気づかないだけです。英語脳を育てる最も効果的な方法は英  
  単語スピーキングです。「自分は思ったより英語ができる」と分かったきっかけ  
 
   突然、誰かに殴られたとします。痛い! そのときあなたはどう言うでしょうか?  
   「いてててて!」  
   でしょう。  
   これは考えてしゃべっていません。条件反射しているだけです。   
   ぼくがアメリカでテレビドラマを見たときに、頭を殴られた主人公は  
   「アウ アウ アウ アウ!」  
   と言っていました。   
   ぼくはとっさにこう思いました。  
   「なんだかふざけているみたいだ。 痛さを感じているなんて思えないよ」  
   ぼくには「アウ アウ アウ アウ!」が 「痛い!」には聞こえなかったのです。   
 
   「英会話がうまくなるためには日本語抜きに英語で考えなくてはいけない」とよく言われます。そ  
  の通りです。しかし、どんなに英語がうまくなったとしても、ぼくらは「アウ アウ アウ アウ!」  
  とは言わないでしょう。自分の核にあたる部分は日本語で出来上がっていて、それを変えることはで  
  きないのです。   
   この話をすると「芯が日本語でできているのだから、英語で考えるなんて至難の技だ」と思う方が  
  多いのではないでしょうか。でも、そのテレビドラマをみたとき、ぼくには正反対の考えが浮かびま  
  した。   
   「自分の現在の英語力は思ったよりいい線をいっているはずだ」   
 
 
英語を口にするまでには3段階ある  
 
   われわれが英語を話す際には、図表1にあるように、3つの段階を踏んでいると考えられます。第1に  
  「ある思いが心に浮かぶ」段階です。先程の「痛い」もそうですが、喜びや悲しみ、驚き、賛同、賞  
  賛、軽蔑などのあらゆる感情が起きる段階です。また、古い記憶が蘇ったり、新しいアイデアが生ま  
  れたりする段階です。   
   それを日本語化するのが第2の段階です。日本語脳の出番です。ある考えが第1の段階にとどまって  
  いて、まだ第2の言葉の段階に達していないことがあります。それは「喉元まで出かかっているんだけ  
  ど」というときです。  
   この日本語を英語化するのが第3段階目になります。これが翻訳です。当然ですが、外国語を話さな  
  い人には第3段階はありません。   
   英会話の理想は第1段階から第3段階へ直接進むことです。これは英語脳が働いていないとできませ  
  ん。この場合、言葉の置き換えがなく、スムーズに言葉が出てくるので自然な会話になります。   
   ここまでお話しすれば、通じない英語を話してしまう際には2種類あることが分かると思います。   
   すなわち、  
  (1)第2段階から第3段階へと進む際に起こる間違い。翻訳ミス。(2)第1段階から第3段階へと直接  
  進むものの (英語脳は働いているものの)  
   第1段階が日本人の発想であるがゆえに起こる間違いです。   
 
  翻訳が英語を“通じないもの”にしている  
 
   実際のところ、間違いは日本語から英語へと翻訳しているときに起きる場合が多いです。   
 
   ぼくの翻訳ミスの代表例をお話しします。  
   外国人と夜遅くまで働いていて、「もう終わりにしよう。帰ろうよ」と言うつもりでした。Let’s  
   finish it. Let’s go home.  
   と言ったのです。すると、同僚はきょとんとし顔をしてぼくを見つめました。「帰ろうって言った  
  んだよね」と念を押したのです。   
   後で分かったのは  
  Finish it  
   は「仕事を仕上げてしまおう」という意味だったのです。   
   正反対のことを同時に言えば、同僚が当惑するのは当然でした。  
   この間違いは、ぼくの考えをまず「終わりにする」という日本語にし、それを英語に翻訳しようと  
  したのがいけませんでした。   
 
   もし、仕事を終わりにしたい気持ちがそのまま第3段階へ進んで言葉になった場合は、  
   Let's stop working.  
   と言ったはずです。  
   さらにこなれた英語が使えたら、Let’s call it a day.  
   と言えたはずです。  
  英語上級者には、日本語から英語に翻訳して話している人がすぐに分かります。言葉として出てくる  
  英語が日本語的な言い回しになっているからです。発言者の英語がよく分からないときはそれをいっ  
  たん日本語に戻すと、「こういう意味だったんだ」と理解できることが多いのです。 日本人の心情に  
  こだわりすぎるのは間違いの元  
 
   もう一つの間違いは上記の(2)で、第1段階が日本人の発想であるがゆえに起きるものです。   
   一例を挙げましょう。  
   日本人は友人に別れ際に「がんばってね」と言うことがあります。試験前だとか交渉ごとの前など  
  特に頑張らなくてはならない事情がない場合でも、多くの人がこう言うでしょう。おおげさな言い方  
  ですが、人生を前向きにがんばって生きてほしい、といった気持ちが相手に対して働くのだと思いま  
  す。   
   この気持ちが心に浮かんだときに、ぼくはそれを英語でこう表わしました。Do your best.  
   ところが、米国人の友人は変な顔をしたのです。ぼくはその反応を見て、「また日本語のへたな英  
  訳をしちゃったかな?」と内心思いました。   
 
   これも後で分かったのですが、英米人には人から「がんばってね」と言われる習慣がないのです。  
  もし別れ際に何か言うならば、Take it easy.  
   となります。これは「気楽にやってよ」という意味で、アメリカ人同士が別れ際によく使います。  
  これも相手への気遣いですから、「がんばってね」の最も的確な訳語です。しかし、これは知識とし  
  て知っているから出てくる言葉であって、日本人の心情を表わした言い回しではありません。   
   ぼくが“Do your best.”と口走ったのは、日本語を英訳したのではなかったのです。自分の心情が  
  英語で出て来たわけです。先ほどの頭の構造から説明すると、第1段階から即第3段階へ進んだのです  
  が、第1段階が日本語的な発想だったために、通じない英語となったわけです。   
   この話にはもう一つエピソードがあります。  
   シカゴに帰っていくアメリカ人のお客さまを見送る際に、会社の上司が「気をつけてお帰りくださ  
  い」と伝えるよう言ったので、ぼくは、Take it easy.  
   と言いました。   
 
   すると上司は後で「あの訳は変だったよ。気楽にじゃ危ない。シカゴは物騒なところだから、安全  
  に気をつけてお帰りくださいと言いたかったんだ」と言いました。その心情は分からないわけではあ  
  りませんが、もし、これをそのまま訳したら「あなたの国は治安が悪い」と指摘することになってし  
  まいます。 感情をこめたい日本人、論理が中心のアメリカ人  
   もう一つの例は、ぼくがアナリストとしてアメリカの会社のCEOに業績について取材していたときの  
  話です。  
   「御社はここ数年業績がいいですね」  
   と前置きを述べてから  
   「御社の業績の先行きに不安があるような気がするのですが」  
   と質問を始めました。   
 
   CEOは答え始める前にどこか逡巡したところがあったように見えました。後で考えると、ぼくが「業  
  績が良い」と褒めたのに、その次に「業績に不安がある」と言ったため、「こいつは矛盾した話をし  
  ている」と思われたようでした。   
   日本では話の初めに相手を持ち上げてから話題に入るのが当たり前です。しかし、そういう発想は  
  英米にはありません。CEOはぼくの「口上」に当たる部分も本題の一部だと解釈したわけです。アメリ  
  カ人同僚は単刀直入に聞くべき質問だけを投げかけていました。   
   日本語を訳して話したわけではなかったので、英語自体に問題はありませんでした。ただ、源にあ  
  る第1段階が日本語で発想しているために、アメリカ人には理解できない英語になってしまったわけで  
  す。   
   このように例を挙げると、「どうしてこんなに英語は難しいんだ」という話になりますが、こうし  
  たことが問題になるのは主に感情とか感覚が絡んだときです。しかし、論理的な思考の際は人種の違  
  いはありませんから、仕事の本題の部分では問題となりません。   
   第1段階に関係するミスは日本人をやめない以上、完全になおるものではありません。ここまで自分  
  を外国人化する必要はないのです。ここは開き直っていいところです。“間違い英語”のある部分が  
  発想そのものに起因していることに気づいてから、ぼくは自分の英語力に自信が出てきました。それ  
  までは「自分はまだまだ日本語で考えてから英訳している場合が多い」と反省しすぎていました。   
   英検2級とか準1級で伸び悩んでいると感じている方でも、実際は、思った以上に日本語の痕跡が消  
  えているのではないでしょうか。   
  英語脳はすでにでき始めている  
   英語がうまくなるほど日本語の助けなしに英語を話すことができます。これは英語脳が育ってくる  
  からです。銅メダルではまだまだ日本語からの翻訳が必要です。通訳レベルの語学力になれば、日本  
  語はかなり不要になりますが、それでも難しい局面では日本語で考え直してから、「ああ。そういう  
  意味だったのか」と理解し、その上で英語を話します。日本語が介在する割合は少ないですが、全く  
  ゼロではありません。達人レベルになれば、日本語で考えることは一切しなくなります。   
 
   図表2には従来の考え方と大きく違う点があります。これまでの考え方は「ある程度の英語力になら  
  ないと英語で考えることはできない」というものでした。その「ある程度」とはとてつもなく高いレ  
  ベルで、留学を2〜3年済ませたようなレベルです。つまり、簡単には英語で考えることができないと  
  いうものです。   
   青い絵具に赤い色を少しずつ混ぜていくとき、かなりの量の赤い絵具を混ぜたときに初めて、「紫  
  色になってきた」と認識されるのと似ています。それまでは赤みがかっているものの、青色のままだ  
  と見られます。   
   これに対して、ぼくはABCを習い始めたときから「英語で考える」範囲が徐々に増えていると思って  
  います。日本語の基本部分があるために最初は英語脳が全体に占める割合が小さくて、目立たないで  
  すが、まったく「ない」のではありません。英語表現を一つ覚えれば、その分だけ英語力がついてい  
  るはずです。   
   絵具で言えば、赤い絵具の最初の1滴をときから、青い絵具と赤い絵具は混ざり始めているのです。  
  他人の目に自分の英語力がどう映るかは別として、自分の中で英語脳は少しずつ育っているのです。  
 
 
英単語スピーキングは英語脳の発育を促進する  
 
   どのようにしたら英語脳が育ちやすいか? これが、みなさんの重大な関心事項だと思います。ぼ  
  くは前回お話しした英単語スピーキングが最も簡単な方法だと思っています。   
   前回同様、「駅に行く道を教えてください」を用いて考えてみましょう。  
  まず、道に迷って「どうしよう。道に迷ったみたいだ。ここはどこだ。どっちが駅だろう」と思うで  
  しょう。これは基本部分にあたる個所(困ったという思い)ですから、英語化はできません。   
   「そうだ、駅がどこか聞こう」と思った瞬間に  
  Station where   
   が出てくるとすれば、それは100%英語で考えたことになるのではないでしょうか。100%とは誤解  
  のある言い方でした。英語化できない基本部分を除いた上での100%の英語化です。   
   もし、この際に「駅へ・行く・道を・教えて・下さい。」とそれぞれの部位に分けて英訳している  
  としたら、これは完全に日本語の英訳です。   
 
   ぼくが言いたいことは  
  Station Where  
   と口から出て来た人の方が  
  Could you tell me the way to the station?  
   と日本語を英訳して話した人より英語脳が育っているとうことです。   
 
   まずはこの“Station where”がすぐに口をついて出てくるようにすべきです。   
 
   ただし、英単語スピーキングは通じる英語ですが、まだ「点」の英語です。Stationも点ならば W  
  hereも点です。この二つをつなぐことができれば、「点」が「線」になり、文になります。現時点で  
  は、広い日本語脳の中に英語脳が「点」として存在しているだけです。次の目標はこの英語脳の割合  
  を少しずつ大きくしていくことです。   
 
 
  最速の上達を約束する「ひらめき」英語法  
 
ぼーっとしているときこそ最適の勉強時間  
 
  「英単語スピーキング」は本番、「ひらめき法」は稽古  
 
   第2回の「「読む」「聞く」「話す」「書く」、あなたならどれを最初に勉強する?」でスピーキン  
  グから英語を学び始めるのが最も効果的だと申し上げました。英文を読むとかニュースを聞くとかで  
  は、最初は分からないことだらけになりますから、すぐに嫌気がさして投げ出してしまいます。話す  
  ことは、自分の知っている単語で、自分が話せる速度で練習できるので、最も障害が少ない方法なの  
  です。   
   「でも、外国人の友達もいないのに、どうやってスピーキングを学ぶんだ」  
   と疑問に思った方もいらっしゃったことでしょう。   
   これから紹介する学習法には外国人の友達は不要です。この方法を「ひらめき英語法」(Daydreami  
  ng English)と名づけました。簡単に言うと、心の中のひらめきをそのまま英語にしていく方法です。  
     
   第5回で紹介した「英単語スピーキング」は、目の前に居るネイティブスピーカーを相手に、現状の  
  英語力でなんとかその場をしのぐのが狙いでした。このひらめき法は語学力向上を目指したものです。  
  芝居に例えるなら前者が本番、後者は稽古です。稽古が多いほど本番がうまくできます。本番でのス  
  ピーキングが単語の羅列から文になってきます。早速その方法をご説明しましょう。   
 
  何でもいい、頭に浮かんだことを英語にする  
 
   最も効果的な勉強の時間はぼーっとしているときです。電車の中とか家の中で、だらーっとしてい  
  るときです。そんなとき、何か心に浮かんでくるはずです。   
 
   ぼくの場合だったら、  
   「お腹がすいたなあ」  
   「今日は10時から会議だ。退屈だなあ」  
   「内緒でお菓子でも食べてようか」  
   といったことが思い浮かんできます。   
 
   この心のひらめきをその場で英語にしていきます。   
 
   「おなかがすいた」は  
  I am hungry.  
   でもいいし、hungryが思いつかなければ  
  I want to eat.  
   でもいいです。  
   英単語スピーキングを生かして、ただの  
  Hungry!  
   でもかまいません。   
 
   次の「今日は会議が10時からだ」は、英単語スピーキングによる  
  Meeting, 10 o’clock  
   でもいいし、もう少し形を整えて、  
  I have got a meeting at 10.  
  The meeting starts at 10 today.  
   などでもいいでしょう。頭からぽっと出てくる英語でOKです。   
 
   「退屈だなあ」はBoring  
   ですが、この単語がすぐに出てこなかった方が居ると思います。この際にいちばん大事なことは  
  「退屈」を使わないで、同じ気持ちを表現することです。  
   「退屈」=「好きでない」=「嫌い」  
   というわけですから、I do not like it.  
  I hate it.  
   などで代用できます。要するに楽しくない気持ちが出ればそれで十分です。  
   思いついたことをすぐに英語にしてみるのが大事なポイントです。   
 
   ひらめきがどうしても英語にならない場合もあるでしょう。その対策については後日お話しします。   
 
  「ひらめき」法は中学英語の復習  
 
   われわれは中学校で必要な英語の文型をほぼ学習しています。日常会話に必要な単語もだいたい習  
  っているでしょう。英語を話すとは、その無限の組み合わせから一つを選ぶ作業です。   
   例えば、ぼくが中学1年でごく最初に習ったセンテンスは  
  This is a pen.I have a book.  
   でした。   
   でも、現実には「これはペンです」というセンテンスをぼくは生涯で一度もしゃべったことはあり  
  ません。「本を1冊持っています」も同様にありません。   
   ただし、これらの文型を利用して、penや bookの代わりに別の単語を入れ替えれば、This is my w  
  ife, Hanako.  こちらは妻の花子です。 He has money. 彼は金持ちだ。   
   となります。これらの英文は何度も言ったことがあります。   
   既に頭の中にある文型に、既に頭の中にある単語を入れたら、それで自分の言いたいことが英語が  
  言えるはずです。今それがすぐに口から出て来ないのは練習量が足りないからです。ひらめき法で練  
  習をすれば、話せるようになるわけです。   
   最初はどうしても頭の中で翻訳作文してしまいます。作文に時間がかかり、話の間が恐ろしく長く  
  なります。それでも仕方がないでしょう。でも繰り返していると、その時間は短くなり、そのうちに  
  は日本語を通さずに英語で考えるようになるのです。   
 
 
「英語で考える」ことができるカラクリ  
 
   ここで疑問が出てくるかもしれません。  
   「反復練習で口から早く出てくるようになるのは分かる。でも、間が短くなったからといって、英  
  語で考えるようになるとはどうしても思えない。」  
   といったものです。   
   ぎこちない間が短くなるのはスピードの改善ですが、英語で考えるようになるのは質的な変化だと  
  いうものです。われわれは努力すれば、だんだん速く走れるようになりますが、それでもチーターに  
  はなれない、といった理屈です。   
   これについては前回の第6回「『日本語で考えてはいけない』を科学する」で触れました。   
   ある思いを言葉にしようとした場合に、現状では語彙も文型も豊富な日本語を選択しています。日  
  本語脳を選ぶわけです。これに対して、今は眠っているままになっている英語の文型や語彙が頭の中  
  で活気づいてくれば、英語脳が育ち、それを選択するのが楽になります。これが英語で考えるという  
  ことです。   
   このひらめき法を続けると、英語がすらすら出てくるようになります。ただし、今の英語は英語脳  
  が働いたのか、それとも、日本語からの翻訳だったのかというのは、自分ではよく分かりません。翻  
  訳のほうが時間がかかりますが、それもほんの一瞬だからです。   
   これを自分で見分ける良い方法があります。それは自分がどんな表情をしたか想像してみることで  
  す。つまり、「退屈だなあ」と心の中で日本語でつぶやいたときに、われわれの表情はほんの少しだ  
  け曇ります。英語を心の中で唱えたときに同じ表情が浮かんだ場合は、日本語抜きで言葉を発するこ  
  とができたと思ってかまいません。   
   「自分がどんな表情をしたかなんて鏡を見なければ分からないよ」とおっしゃるかもしれません。  
  けれど、楽しいことを思い出したりしたときに思わずほほ笑んだり、にやっとした経験は誰にでもあ  
  るのではないでしょうか。   
   いっぽう、つまらなそうな表情が出たものの、どことなく違和感があると思ったら、それは翻訳し  
  たからです。最初に日本語で「退屈だなあ」を考えた時点で、自然な表情は既に出てしまっているか  
  らです。  
   ぼーっとした時間が英語学習に最高  
     
   この練習はぼーっとした時間に行うのが良いと言いました。それには2つの理由があります。   
   第1の理由はこうした時間に心に浮かぶ思いは「短い」ということです。   
   先程の例の「心に浮かんだ風景」は3つのコメントから成っていました。  
   「お腹がすいたなあ」  
   「今日は10時から会議だ。退屈だなあ」  
   「内緒でお菓子でも食べてようか」  
   でした。   
 
   これを1つにまとめると、  
  「おなかがすいたから、10時からの退屈な会議の最中に内緒で何か食べていよう」  
   という文になります。   
 
   文にすれば確かにこうなりますが、こうした複雑な思いはぼーっとした時間には浮かんできません。  
  上のように、途切れ途切れの思いが次々に浮かんでくるはずです。これなら非常に短く単純なので、  
  育ち始めたばかりの英語脳でも簡単に対処できます。長い考えを英語にしようとすると、どうしても  
  日本語から翻訳してしまうのです。   
 
   しかも、一つにまとめられた文は「思い」としては整理されすぎています。このセリフでは、心の  
  思いが少し薄れてしまう感じは拭えないでしょう。日本語の時点で作りもののセリフだったら、英語  
  ではなお白々しくなるでしょう。   
 
   自分の奥にある感情を英語にすることはとても重要です。「退屈だなあ」と思ったら、その素直な  
  感情を表わそうとして、自分の気持ちにぴったりくる英語を選ぼうとします。その結果、日本語ほど  
  上手でなくても、英語でも自然な感じが伝わります。   
 
   「使える英語の語彙数が少ないから、どの表現がより自然なのかなんて分からない」  
   とおっしゃるかたがいるでしょうが、銅メダルを目指しているうちは考えすぎないでください。数  
  をこなしているうちに、自ずからできるようになってきます。   
 
   第2の利点はぼーっとしたときに思い浮かぶことは範囲が限られているということです。   
 
   話題で言えば、家族、友人、同僚のこと、身体の調子、1日の予定。形容詞で言えば、楽しい、つら  
  い、嫌だ、といった感情の範囲に収まってしまいます。これに対して、哲学、科学技術、文学といっ  
  たことに思いが及ぶことはごくまれでしょう。ぼくはこのことに気づいたとき、「自分の関心事って  
  なんと範囲が狭いんだろう」と苦笑しました。   
 
   英米のテレビ番組を見て、最も簡単に理解できるのは天気予報です。使われる単語が限られている  
  し、文型のほとんどが一定のパターンに則っているからです。日本の天気予報においては、経験を積  
  んだアナウンサーではない気象予報士が数多く登場しています。原稿朗読のプロでない人が活躍でき  
  るのは、使用する用語や表現が非常に限られているからでしょう。   
 
   この観点から、天気予報から入るという勉強の仕方も考えられるでしょう。でも、それでは面白み  
  が全くありません。ぼーっとした時間に思いつくことは、天気ほど限られた話題ではないですが、そ  
  れに近いものがあります。   
 
ひらめいただけ英語がうまくなる  
 
   ひらめき法の長所は意外と長い時間、英語に浸ることができる点にあります。   
 
   英語をうまくなろうと思ったら、できるだけ長い時間、英語に浸ることです。もしこれから一生、  
  全く日本語は使わないで、英語だけで暮らそうと心に決めたかたが居るなら、その人はかなり英語が  
  うまくなるでしょう。   
 
   逆に効果が薄いのは、英語を学んでいるつもりでも、本当は日本語を見ているような場合です。英  
  語の教材テキストは、例題の英文以外はだいたい日本語でできています。なので、テキストを見てい  
  る間、日本語で考えている時間がけっこうあります。英語教室も先生が日本語で説明している場合は、  
  日本語脳が働く時間が長くなってしまいます。   
 
   これに対して、このひらめき英語をやっているときは、すべて英語の時間です。   
 
   「さあ、英語脳の時間だ。日本語脳は使わないぞ」と思って始めてみてください。最初のうちは、  
  「日本語で考えてはいけない」と思うあまり、緊張して何も考えが浮かんでこないこともあります。  
  それでは元も子もないので、適当に気持ちを緩めて行うのがいいでしょう。   
 
   「この方法をどの程度の期間続ければ、英語がすらすら出てくるようになるでしょうか」という質  
  問を受けます。これは、それを始める人の現在の英語力によって違いますが、英検2級だったぼくは半  
  年でだいたい思ったことがなんとか言葉になるようになりました。ぼくはこの半年は通勤する間(電  
  車往復で20分)だけ、このひらめき法をやっていました。   
 
   「1日20分だけ、半年でそんなにできるの?」  
   と疑問に思うかもしれませんが、本当です。ただし、上記で述べたようにごく限られた話題の短い  
  文だけです。   
 
   ぼくはこの方法を誰に教わるというわけでもなく、ぼーっとしているくらいなら、英語を勉強した  
  ほうがいいという単純な動機で始めたのです。この方法だと自分のペースで少しずつ進むので、高い  
  ハードルを感じないで済みます。そのうち、「あっ、これも言えた」と喜びがわいてきます。今まで  
  言えなかったことが英語で言えるようになると、真白な便箋に英語のメッセージを綴ったような感覚  
  が生まれます。   
 
   ひらめき法を始めて半年後、自分も頑張れば英語ができるようになるぞという希望が出てきました。  
  ここまで来たら、銅メダルの入口に立ったと言えます。皆さんも半年後には同じような気持ちになる  
  でしょう。   
 
 
疑問文は使わなくていい  
     
   心に思い浮かんだことをその場で口にするのは容易ではありません。そのため、「大事なところだ  
  けに集中する」という方針で臨みます。疑問文は優先順位の低い代表例なので忘れていいです。   
 
  疑問文が難しいのは語順が変わるから  
 
   英語を話す最初のステップは英単語スピーキングでした。必要な単語を並べるだけで話すものです。  
  このアプローチの骨子は「大事なところだけに絞る」というものです。「ひらめき法」でも同じ方針  
  で臨みます。   
 
   銅メダル英語で英会話をする際に、「疑問文を話さなくていい」と申し上げたら、「それは乱暴だ」  
  と思われるかもしれません。「疑問文がないと会話にならない。疑問文は中学1年から習っているのに」  
  と反論されるでしょう。   
 
   疑問文を避ける理由をひとことで言えば、「難易度が高いから」です。その割に絶対不可欠とは言  
  えません。   
 
   「難易度が高いとは、どうしても思えない」と思うかたも居るでしょう。それは外国人との会話の  
  経験が少ないからではないかと察します。疑問文ではない普通の文でも、すぐに口にするのは容易で  
  はありません。疑問文はそれにも増して時間がかかってしまいます。   
 
   ぼくは、米国の大学院に留学した2年の間、疑問文なしで通しました。卒業するときでさえ、疑問  
  文をもさらりとしゃべるだけの語学力は身につきませんでした。その経験から「疑問文は当面忘れて  
  いい」と申し上げています。   
 
   実例を交えて解説しましょう。まず、日本語です。  
  平叙文: あれはタクシーです。  
  疑問文: あれはタクシーですか?   
 
   となります。日本語では1文字加えるだけで、普通の文が疑問文に早替わりします。   
 
   これが英語では  
  平叙文: That is a taxi.  
  疑問文: Is that a taxi?  
   となります。   
 
   英語ではthatとisとの場所が交代しています。倒置です。日本語では最後にただ「か」をつけるだ  
  けなのに、英語となると倒置しなくてはならないから、難易度が高いと申し上げました。   
 
  疑問文をつくっている余裕は会話にはない  
   ここで疑問が出てくるかもしれません。  
   「どうしてそんなのが難しいんだ。慣れっこになってるよ」  
   というものです。学生時代の英語の授業中ならば、まず普通の文を頭の中でつくり、それを倒置し  
  て疑問文をつくっていても問題ないでしょう。そうやって順を追っていけば難しくはありません。た  
  だし、実際の会話ではそういうステップを踏んでいる余裕はありません。最初から疑問文を口にしな  
  くては間に合いません。  
 
   あるとき、ぼくはニューヨークでタクシーを拾おうと手を道の方に出しました(米国では手は上で  
  はなくて、横に出すものです)。すると、クリーム色の車が止まったのです。ニューヨークのタクシ  
  ーは黄色と決まっていると思っていたので、クリーム色はもしかしたら怪しい白タクかもしれないと  
  思い、周りにいる人に聞きました。この車に乗るべきなのかどうか即座に判断しなくてはなりません。  
 
  That is a taxi?  
   がぼくの口をついて出た英語でした。とっさのときに倒置なんて考えていられません。   
 
   「そういう緊急のときはしかたがないが、普段は正しい英語を使うべきだ」とおっしゃるかたが居  
  るかもしれませんが、会話はいつも「とっさ」に対応しなければならないものです。ぎこちない間を  
  あけないためには、余分なことを考えていてはいけません。   
 
   ちなみに、中国語の疑問文は、日本語と同じように「か」に当たる語を文尾に付けるだけ。日本語  
  と同じやり方です。中国語の疑問文は習ったその日からすらすらと口にすることができました。この  
  際に安心感を味わい、「倒置するのはきついんだ」と英語の難しさを改めて気づきました。   
 
 
Do、 Doesで始まる疑問文も厄介  
 
   Isで始まる疑問文は普通の文から語順が変りましたが、Doを文頭に付ける疑問文では倒置は起こり  
  ません。それでも難易度が下がるわけではありません。   
 
   Doで始まる疑問文を見ていきましょう。  
  He has a good memory. 記憶力がいいんだ。  
  Does he have a good memory?  
   となります。   
 
   面倒な点はhasがhaveに変っているところです。しかも主語がYouとかIの場合はDoであり、He、 Sh  
  eの場合はDoesになるという厄介なものです。このDoは日本語では「か」の働きをすることになるわけ  
  ですが、われわれは文の最後に「か」をつけるのに慣れていますから、文頭にDoを付けるのに慣れる  
  までは苦痛です。こんなところに気を取られていたら、肝心の中身が話せません。   
 
  こんなところに気を取られていたら、肝心の中身が話せません。   
   この場合も  
  He has a good memory?  
   とすればいいわけです。文尾のイントネーションを高く上げればそれで十分です。   
 
   疑問文の仲間に付加疑問というのがあります。  
  He has a good memory, doesn’t he?  
   というものです。  
   「あいつは記憶力はいい、よね?」  
   といった感じです。途中まで平叙文で話していたのが、気が変って疑問文にするものです。話すう  
  ちに自信がなくなってきて最後に疑問を投げかけた感じです。   
 
   これはぼくが薦める、最後に「?」をつけただけの対処法と似ています。付加疑問文は正統な英語  
  ですから、こちらの方が洗練されていますが、銅メダル英語では通じることを最優先するので、「普  
  通の文+?」で何ら問題はありません。   
 
   なお、付加疑問文という存在を忘れていたかたもいらっしゃるでしょう。ここでは説明のために触  
  れましたが、この種の英語はきれいに忘れていただいてけっこうです。   
 
   「文末のイントネーションを上げるだけなんて嫌だ」と思うかたは文末にRight? を付けるのをお薦  
  めします。He has a good memory, right?  
   といった具合です。これは完璧に正しい英語です。ただし、「そうだよね。ぼくの言ってることが  
  正しいよね」という念押しの意味合いが強くなります。   
 
 
5W1Hには逃げの手を使う  
 
   すべての疑問文を省略できればいいのですが、そうはいきません。5W1Hといった、「いつ、ど  
  こで、誰が、何を、どうして、どのように」(When Where Who What Why How) といった言葉で始ま  
  る英語は話さないわけにはいかないからです。   
 
   5W1Hで始まるセンテンスは通常の疑問文と同様に、Isの倒置やDo動詞の変化が待っています。  
  できれば、この煩わしさから逃げたいわけです。この場合は2つの逃げ方があります。   
 
  (1)5W1Hだけを最後に付け加える  
   「彼女はどうしてダイエットしてるの?」   
  Why is she on a diet?  
   が正しい英語です。   
 
   これを  
  She is on a diet.  
   と言ったあとで、  
  Why?  
   だけを付ければ、事が足ります。   
 
   「彼女はダイエットしてるんだ。どうして?」といったニュアンスになります。これは英単語スピ  
  ーキングの延長ですが、ネイティブでもやっているので、正統な英語の端くれと考えて問題ないでし  
  ょう。   
 
  (2) Do you know を文頭に付ける  
   相手に何か質問するときは、相手が答えを知っていると思っているから聞くわけです。従って大概  
  の場合はDo you knowを付けることができます。これを付けると、why以下は普通の文になっているの  
  で楽に英語が口にできます。   
 
   上記の文は  
  Do you know why she is on a diet?  
   となります。   
 
   意味は「どうしてダイエットをするの?」から「どうしてダイエットをするのか知ってる?」に変  
  ります。厳密に言えば、後者は知っているかどうかだけを聞いているのですが、どちらで質問しても  
  相手の回答は同じです。   
 
   Do you knowを文頭に付けることができない場合があります。常識で考えれば分かるのですが、主語  
  がYou(あなた)のときはだめです。   
 
  Why are you in a hurry? どうして急ぐの?  
  You are in a hurry, why?  
  という英語はあっても   
 
  Do you know why you are in a hurry? どうして急ぐのか理由は分かってる?  
   という英語はありません。本人は理由があるから急いでいるのです。  
   「お前は意味もなく急いでいるんだろう」という詰問になってしまいます。  
 
   最後に、Whyだけに特殊な言い回しがあります。How comeに言い替えることができます。How come   
  she is on a diet?  
   となります。How come 以下は普通の文で大丈夫。倒置もDoも要りません。これは便利です。Whyに  
  比べて若干軽い言い回しですが、 この際そんなことは気にする必要がありません。   
   WhereやWhatなどにはこうした便利な表現はありませんから、(1)か(2)で対処してください。   
 
他にも要らない表現がある:仮定法と感嘆文  
   疑問文以外でも優先順位の低い言い回しは忘れていただいてけっこうです。   
   仮定法とは、あり得ないことを表す文です。「自分が鳥だったら」とか「もし20年前に戻ることが  
  できたなら」というのが仮定法です。これは普通のIf文を代用してかまいません。   
   この原稿を書きながら、「自分はこれまでIfが出てくる仮定法を使って話したことがあったっけ?」  
  と振り返ってみ見ましたが、どうも思い当たりません。おそらくそういう難しい表現は使っことがな  
  いと思います。   
   ぼくがたまに使う仮定法は、「ぼくだったら、OOOOOするなあ」とか、「君がぼくの立場だっ  
  たらどうする?」といった場合だけです。この英語は銅メダルでもかなり上級レベルになった時点で  
  覚えれば十分です。   
 
   最後になりますが、感嘆文(なんと〜なのだろう)です。そんな文体があったなあと思い出すでし  
  ょう。これは全く話す必要はありません。   
  What a beautiful flower!  
   は  
  The flower is beautiful!  
   で代用できるからです。ビューティフルのビューを長めに言えばそんな雰囲気が出ます。   
 
   疑問文も仮定法も感嘆文も捨てていい、と申し上げているのは、さぼることを薦めているのではあ  
  りません。   
   友人の中には手を動かしながら英語を話している人が何人もいました。指揮者は音楽の流れととも  
  に手を動かしますが、その人たちは、自分が話す単語ごとに、手を動かしてその意味を確認していた  
  のです。文末でイントネーションが上がると、手がさっと上がっていました。   
   英語初心者ではなく、留学2年目というレベルの人たちでさえ、こうです。銅メダル英語を目指し  
  ている私たちが、まだ疑問文に頭を使わなくてはならないのでしょうか。   
   私たちの現状の英語脳は、必須語とそれを結び付ける語句を組み合わせるだけで精一杯です。  
  その精一杯な頭の回転をもっと楽にして、英語が簡単に出てくるようになるコツを次回披露します。  
 
 
  2010年 12月11日 HP:日経ニッケイビジネスオンライン  
  ドウメダルの英語エイゴ目指メザせ! 転記テンキ  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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